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合併のまとめ

法務 税務 会計
合併の概要 適格合併と非適格合併の取扱 企業結合の分類と会計処理
合併の意義・効果・制限 合併存続法人の純資産の部 共通支配下の取引
合併の手続き 適格の要件 共同支配企業の形成
合併契約の承認決議 100%関係の判定 「取得」と「持分の結合」
債権者・株主・労働者の保護手続 50%超100%未満グループの判定
従業者引継ぎ要件
事業継続要件
事業関連性要件
規模要件
経営参画要件
株式継続保有要件
繰越欠損金の利用制限
制限の対象となる繰越欠損金
特定資産譲渡損失の取扱
制限の対象となる特定資産譲渡損失
譲渡資産損失と譲渡益
受入資産・負債の評価とのれん
株主の税務
合併にかかる消費税
合併にかか登録免許税

合併の概要

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合併の意義・効果・制限

合併とは2つの会社が1つになることである。
合併により消滅する会社の権利義務はすべて存続(新設)会社に移転する。
存続(新設)会社が認識していなかった簿外債務も承継されてしまう。
合併の効力発生と同時に消滅会社会社は消滅し、解散決議は必要なく、清算手続きも不要

吸収合併 新設合併
消滅会社の株主の地位 消滅会社に対する株式と引き換えに、存続会社の株式または金銭その他の財産を受け取る。
(対価の柔軟化→金銭その他の財産を受け取れるのは平成19年5月以降)
消滅会社に対する株式と引き換えに、続(新設会社の株式を受け取る。
効力発生日 合併契約書で定めた「効力発生日」に生じる(≠登記日)
但し、消滅会社の解散は吸収合併の登記後でなければ第三者に対抗できない
「登記日」
種類の異なる会社間の合併 株式会社、合名会社、合資会社、合同会社間での合併の制限はなくなった。
特例有限会社は存続会社にはなれない。 特例有限会社は新設会社にはなれない。
債務超過会社の合併 消滅会社が「簿価債務超過」の場合は合併できる。(但し、存続会社の合併契約を承認する株主総会でその旨の説明が必要)
消滅会社が「時価債務超過」の場合は合併できるか明記されていない。

承継債務額および承継資産額の算出方法は会社法施行規則第195条参照
実務界での取扱 実務上は、吸収合併が多い。(新設合併の方が、登録免許税が高く、許認可等の再申請が必要だから)

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合併の手続き

存続会社 消滅会社
直前の決算公告
合併契約締結(取締役会の承認決議)
合併書類事前設置開始 合併書類事前設置開始
(下記の早い日から6ヶ月経過日まで)
下記の早い日から6ヶ月経過日まで)
株主総会
の承認
債権者
保護手続
株式
買取請求
株主総会
の承認
債権者
保護手続
株式
買取請求
新株
予約権
買取請求
株券
提供手続
登録
質権者
(前日まで)

1ヶ月以上
20日間
(前日まで)
1ヶ月以上
20日間
20日間
1ヶ月以上
20日間
(合併契約書で定めた「効力発生日」までに各種手続きを並行してできるようになった。
合併の効力発生日
(2週間以内)
変更登記 解散登記
事後設置開始・財産等の名義変更手続き

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合併契約の承認決議

種類株式
の有無
対価の割当てを
受ける株式の
譲渡制限の有無
対価 株主総会決議要件 種類株主総会決議要件
決議の種類
消滅会社 なし なし 譲渡制限株式 特殊決議 × ×  
新設会社持分 総株主の同意 × ×  
それ以外 特別決議 ×  
あり 新設会社持分 総株主の同意 × ×  
それ以外 特別決議 ×  
あり なし 譲渡制限株式 特別決議 × 特殊決議
新設会社持分 特別決議 × 種類株主全員の同意
それ以外 特別決議 × なし
あり 新設会社持分 特別決議 × 種類株主全員の同意
それ以外 特別決議 × なし
存続会社 なし なし 全ての対価 特別決議  
あり 譲渡制限株式 特別決議 × ×  
それ以外 特別決議  
あり なし 全ての対価 特別決議 なし
あり 譲渡制限株式 特別決議 特別決議
それ以外 特別決議 なし
(簡易合併とは一定の要件の下、存続会社の株主総会を省略できる場合)
(略式合併とは一定の要件の下、被支配会社の株主総会を省略できる場合)
※存続会社の種類株式の一部だけに譲渡制限がある場合は簡易・略式合併は可。
存続会社の種類株式のすべてに譲渡制限がある場合は簡易、略式合併は不可。

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債権者・株主・労働者の保護手続き

債権者保護 債権者保護手続きの方法
「存続会社」および「消滅会社」は、(1)債権者に対して合併に異議があれば一定期間内に申し出る旨を官報で公告し、(2)かつ知れたる債権者に個別に催告しなければならない。
公告および催告の内容
内容 留意点
(1)吸収合併をする旨  
(2)合併の相手方の商号および住所  
(3)各合併当事会社の計算書類に関する事項 ・最終の貸借対照表に係る決算公告の掲載場所を記載。
・定款で官報以外の方法、つまり日刊新聞紙もしくは電子公告を選択している場合は、債権者への個別の催告を省略することができる。
(5)債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨 一ヶ月以上
異議があった場合の手続き
(1)その債権者の弁済する
(2)その債権者に相当の担保を供する
(3)その債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託
(以上の手続きは、合併の効力発生の前日までに終了している必要がある)
株主保護手続き 株式買取請求の手続き
合併に反対のすべての株主は、合併の効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までに、会社に対し株式の買取りを請求することができる。
・議決権のない株主も対象となる
・株主総会で議決権を行使できる株主は、株主総会に先立って合併反対の意思を通知し、株主総会で反対することが必要
労働者保護 合併は営業譲渡や会社分割とは異なり、雇用契約は承継されるため、労働者保護手続きは必要なし。

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適格合併と非適格合併の取扱

  適格合併 非適格合併
被合併法人 資産等を簿価で合併法人へ移転(譲渡損益なし)
資産等を合併法人の新株の時価で合併法人へ移転(課税あり)
繰越欠損金は原則引継ぎ可能
(但し、一定の制限あり)
繰越欠損金の全額切捨て
役員退職金の未払計上可能 役員退職金の未払計上可能
圧縮記帳特別勘定繰入Ok 圧縮記帳特別勘定は全額取り崩す
最後事業年度の事業税は未払計上不可
合併法人 資産等を簿価で被合併法人から引き継ぐ 資産等を時価で合併法人から引き継ぐ
但し、100%グループ法人間で譲渡損益調整資産の移転の場合は譲渡損益を繰延べる。
のれん(資産調整勘定、負債調整勘定)は発生しない。 のれん(資産調整勘定、負債調整勘定)は発生しうる。
増加資本金は被合併会社の「資本金」をそのまま引き継ぐ 増加資本金は合併による発行新株の時価
資本積立金=簿価純資産ー(増加資本金+利益積立金)・・・マイナスもありうる 資本積立金=時価純資産−増加資本金
被合併法人の利益積立金が引き継がれる。 被合併法人の利益積立金は引き継げない
合併法人が有する抱き合わせ株式の帳簿価額を、合併法人の増加すべき資本金等の額から減額する。 合併法人が有する抱き合わせ株式の帳簿価額を、合併法人の増加すべき資本金等の額から減額する。
繰越欠損金はそのまま利用可能
(但し、一定の制限あり)
繰越欠損金の利用に制限なし
圧縮記帳特別勘定も引継ぎ可 圧縮記帳特別勘定も引継ぎ不可
被合併会社の最後事業年度の事業税は合併法人の損金扱い 被合併会社の最後事業年度の事業税は合併法人の損金扱い
被合併法人株主 簿価で旧株から新株へ付け替え (1)みなし配当課税
・被合併法人の利益積立金相当額
・内国法人株主は受取利息等の益金不算入の適用あり
(2)株式譲渡損益課税
・交付金なし→損益の繰延べ
・交付金あり→株式譲渡損益課税
合併法人株主 取引対象外 取引対象外

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適格の要件

  グループ内 共同事業
要件 100%関係 50%超100%未満
金銭交付要件 ○(金銭交付がないこと) ○(金銭交付がないこと) ○(金銭交付がないこと)
従業者員引継ぎ要件
(取締役、監査役、使用人(出向者除く)、受入出向者、派遣社員、パート、アルバイト)
なし ○(被合併法人の従業者の概ね80%以上が引き継がれることが見込まれていること)

○被合併法人からの引継ぎ業務ではなく、合併法人の業務に従事させてもOK
○合併の直前に人員整理を行っても、包括的租税回避行為に抵触しない限り問題なし
○合併の直前と直後で判定
同左
主要事業引継ぎ要件 なし ○(被合併法人の主要な事業の継続が見込まれること)
○合併法人に対してのみ賃貸業等を行っているような場合は事業継続要件は満たせない。
○事務所、店舗、工場等の固定施設を所有または賃借していること
○従業者があること
同左
事業関連性 なし なし ○被合併法人の主要な事業と合併法人の事業が関連すること(シナジー効果が認められること)
規模要件 なし なし ○事業規模(売上高、従業者数、資本金額)が概ね1:5の範囲内にあること
○資本金額は資本金のみ
○売上高および従業者数は、被合併事業と合併事業で判断
経営参画要件 なし なし ○常務以上の役員を引き継ぐこと
株式継続保有要件 なし なし ○株式の継続保有(株主50人以上の場合は不要)
その他 再編後も100%の完全支配関係が継続することが見込まれていること
(グループ外の法人に一部の株式を譲渡したり、外部法人に第三者割当増資をした場合、適格合併の要件からはずれてしまう場合がある)
再編後も50%超の支配関係が継続することが見込まれていること
(グループ外の法人に一部の株式を譲渡したり、外部法人に第三者割当増資をした場合、適格合併の要件からはずれてしまう場合がある)
なし

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100%関係の判定

  1. 名義株がある場合には実質的権利者で判定する。
  2. 自己株式は除いて判定する。
  3. 直接保有だけでなく間接保有割合を含めて判断
  4. 議決権の有無ではなく、「発行済み株式の保有割合で判断
  5. 新株予約権は行使前においては、発行済み株式には含めない。
  6. 合併直前に100%にしてもOK
  7. 同一の者が個人である場合には、当該個人の特殊の関係者も含めて判定

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50%超100%未満グループの判定

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従業者引継ぎ要件

被合併法人の合併直前の従業者のうち、その総数の概ね80%以上に相当する数の者が合併後に合併法人の業務に従事することが見込まれていること。

(1)合併法人の従業者は対象外
(2)80%の判定は、被合併法人の合併直前と直後の従業者数で判定
(3)「合併法人の業務」に従事すればよく、被合併法人から引き継いだ事業に従事する必要はない
(5)「従業者」とは役員、使用人、出向社員、派遣社員を含む

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事業継続要件

被合併法人の合併直前に営む「主要な事業」が、合併法人において引き続き営まれることが見込まれていること。

(1)被合併法人の「主要な事業」の継続は要求されるが、合併法人の「主要な事業」の継続は要求されていない。
(2)「主要な事業」の判定は、収入金額、損益状況、従業者の数、固定資産の規模等を総合的に判断
(3)被合併法人の事業が、合併法人に対してのみサービスを行うことが「主要な事業」である場合には、合併により「主要な事業」が消滅することになるため、要件を満たさない。

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事業関連性要件

合併に係る被合併法人の被合併事業(当該被合併法人の合併前に営む主要な事業のうちのいずれかの事業)と合併法人の合併事業(合併法人の合併前に営む事業のうちのいずれかかの事業)とが相互に関連するものであること(シナジー効果の見込みがあること)

(1)被合併事業は「主要な事業」である必要があるが、合併事業は「主要な事業」である必要はない。
(2)「いずれかの事業」であるため、全ての事業に関連性がある必要はない。

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規模要件

合併法人と被合併法人の事業の規模の割合が概ね5倍を超えないこと
・被合併法人の被合併事業と、それに関連する合併法人の事業の売上金額の比
・被合併法人の被合併事業と、それに関連する合併法人の事業の従業者数の比
・被合併法人と合併法人の資本金の比
・これらに準ずるものの規模の割合

(1)被合併法人の被合併事業は「事業関連性要件」の判定における「主要な事業」に限る。
(2)合併法人の事業は、被合併事業うと関連する事業に限る。
(3)事業規模の比較は単体で行う(子会社、関連会社の指数は用いない)。

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経営参画要件

合併前の被合併法人の「特定役員」のいずれかと、合併法人の「特定役員」のいずれかが、合併後の合併法人の「特定役員」となることが見込まれていること。

(1)「特定役員」→社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役、常務取締役またはこれに準ずる者で、法人の経営に従事しているもの。
(2)被合併法人の特定役員と合併法人の特定役員は、それぞれ1人以上引き継げばよい。

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株式継続保有要件

合併直前の被合併法人の株主等で、当該合併により交付を受ける合併法人の株式の全部を継続して保有することが見込まれるが有する被合併法人の株式の数を合計した数が、当該被合併法人の発行済み株式数の80%以上であること。

(1)株式継続保有の要件の判定にあたり、無議決権株式は除く。
(2)80%の判定にあたり、自己株式、抱合株式に新株を割り当てなかった場合の当該抱合株式、無議決権株式を除く
(3)被合併法人の株主が50人以上である場合は当該要件は不要(合併法人の株主数は無関係)
(4)被合併法人の株主が50人以上である場合は株式継続保有要件は課されない。
(5)1株でも譲渡することが見込まれる場合は、その者が有する株式数は分子から除外する。
(6)グループ内の法人に対する株式譲渡についても株式継続保有要件に抵触する。
(7)合併法人が第三者割当増資を行うことが見込まれていても、要件には抵触しない。
(8)合併前の合併法人の株主については、株式継続保有要件は要求されていない。

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繰越欠損金の利用制限

適格合併 合併法人の繰越欠損金 利用可能 一定の制限あり 欠損等法の欠損金
の利用制限の説明
はコチラから
被合併法人の繰越欠損金 引継ぎ可能 一定の制限あり
非適格合併 合併法人の繰越欠損金 利用可能 制限なし
被合併法人の繰越欠損金 引継ぎ不可 利用不可 ×


判定基準 概要 関連する制度
期間 @組織再編成事業年度開始の日の5年前
A当該内国法人の設立の日
B当該支配関係法人の設立の日
以上のうちもっとも遅い日から継続して当該内国法人と当該支配関係法人との間に支配関係があること
特定資本関係発生日
(50%超取得日)
・議決権の有無は関係なく発行済株式数で判断)
・親子関係だけでなく兄弟関係も含む
共同事業性 グループ内の適格合併であっても共同で事業を営むものと認められるもには制限なし みなし共同事業要件
含み益 繰越欠損金の他に含み益があり、全体でみた場合に税負担が生じるケースまでは制限を課さない。 時価純資産超過額/簿価純資産超過額の特例

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制限の対象となる繰越欠損金

共同事業要件を満たさない合併法人の繰越欠損金の制限


合併直前の退職金による欠損金の引継ぎOK

みなし共同事業要件

要件 「@からCまでをすべて満たすこと」もしくは「@とD」を満たすこと
@事業関連性

被合併法人の被合併事業(当該被合併法人の合併前に営む主要な事業のうちのいずれかの事業)と合併法人の合併事業(合併法人の合併前に営む事業のうちのいずれかかの事業)とが相互に関連するものであること(シナジー効果の見込みがあること)

(1)被合併事業は「主要な事業」である必要があるが、合併事業は「主要な事業」である必要はない。
(2)「いずれかの事業」であるため、全ての事業に関連性がある必要はない。

A規模要件

合併法人と被合併法人の事業の規模の割合が概ね5倍を超えないこと
・被合併法人の被合併事業と、それに関連する合併法人の事業の売上金額の比
・被合併法人の被合併事業と、それに関連する合併法人の事業の従業者数の比
・被合併法人と合併法人の資本金の比
・これらに準ずるものの規模の割合

(1)被合併法人の被合併事業は「事業関連性要件」の判定における「主要な事業」に限る。
(2)合併法人の事業は、被合併事業うと関連する事業に限る。
(3)事業規模の比較は単体で行う(子会社、関連会社の指数は用いない)。

B被合併事業の規模継続要件 被合併事業が、被合併法人と合併法人との間に最後に支配関係があることとなった時から当該合併の直前まで継続して営まれており、かつ、その両時点での被合併事業の規模の割合がおおむね2倍を超えないこと
(Aで用いた指標を使用)
C合併事業の規模継続要件 合併事業が、合併法人と被合併法人との間に最後に支配関係があることとなった時から合併のときまで継続して営まれており、かつ、両時点での合併事業の規模の割合がおおむね2倍を超えないこと
(Aで用いた指標を使用)
D経営参画要件

合併前の被合併法人の「特定役員」のいずれかと、合併法人の「特定役員」のいずれかが、合併後の合併法人の「特定役員」となることが見込まれていること。

(1)「特定役員」→社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役、常務取締役またはこれに準ずる者で、法人の経営に従事しているもの。
(2)被合併法人の特定役員と合併法人の特定役員は、それぞれ1人以上引き継げばよい。

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特定資産譲渡損失の取扱

特定資産、特定資産譲渡損失の定義
特定資産 特定資産譲渡損失
定義 特定資本関係の生じた日以前から保有していた資産 譲渡、評価替え、貸倒れ、除却その他これらに類似する事由による損失
除外 (1)棚卸資産(土地、土地の上の権利を除く)
(2)売買目的有価証券
(3)適格合併等の日における帳簿価額または取得原価が1000万円未満
(5)特定資本関係発生日において、時価>簿価である資産
(1)災害による資産の滅失、損壊
(2)適正に減価償却を行っている減価償却資産の除却
(3)適格事後設立による資産の譲渡
(5)収用、換地処分等による資産の譲渡
備考 (1)1000万円の評価単位
(2)別表添付要件
適正に減価償却を行っているとは・・
(事業年度開始の日における帳簿価額が、被合併法人の取得日から事業年度開始の日まで、その年度において採用する償却方法で償却した場合の帳簿価額に相当する額の概ね2倍を超えないもの)
合併の態様における特定資産譲渡損失の損金不算入制限の適用判定
適格合併 合併法人 移転なし 含み損益残る 一定の制限あり 欠損等法の欠損金
の利用制限の説明
はコチラから
被合併法人 簿価移転 含み損益残る 一定の制限あり
非適格合併 合併法人 移転なし 含み損益残る 制限なし
被合併法人 時価移転 精算される 利用不可 ×

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制限の対象となる特定資産譲渡損失
合併法人の特定保有資産の譲渡損失の損金不算入

被合併法人の特定引継資産の譲渡損失の損金不算入

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譲渡資産損失と譲渡益
合併法人 特定保有資産 特定保有資産の譲渡益 相殺可 相殺後の損失額が規制対象
特定保有資産の譲渡損失
相殺不可
被合併法人 特定引継資産 特定引継資産の譲渡益 相殺可 相殺後の損失額が規制対象
特定引継ぎ資産の譲渡損失

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無対価合併

  • 平成22年度税制改正により整備
  • 合併前に被合併法人と合併法人との間に「同一の者」による完全支配関係がある場合
  • 無対価合併であっても、単に対価の支払が省略されたものとして、適格要件のうち対価要件を満たすものとする
  • 被合併会社が債務超過の場合によく用いられる。
  • 下記の場合は無対価であっても適格合併とみなされる。

@合併法人が被合併法人の株式を100%保有
(完全親子会社の合併)
A同一の者が被合併法人と合併法人の株式を100%保有
(完全兄弟会社の合併)
そもそも、会社法上、抱き合わせ株式には新株の割り当てはできないので、無対価合併とならざるを得ないのでは・・・ 「同一の者」は法人もしくは個人(ひとりのみ)
親族等の同族関係者、特殊関係者は含まれないことに注意

合併存続法人の純資産の部

適格合併
非適格合併

受入資産・負債の評価とのれん

非適格合併においては被合併法人の資産を時価で引き継ぐため「貸借差額」=のれんが発生
平成18年5月1日以後行われる非適格合併から適用

正(プラス)の「のれん」=資産調整勘定

負(マイナス)の「のれん=負債調整勘定

  定義 税務上の取扱い
のれん 支払対価−時価純資産価額−退職給与債務引受額−短期重要債務見込額−資産等超過差額 会計処理にかかわらず、非適格合併の日の属する事業年度から60ヶ月均等で取崩し、損金算入する(負ののれんの場合は益金算入)
資産等超過差額 非適格合併対価の交付時の時価が、約定時の時価の2倍を超える場合の当該超過額(移転を受ける事業により見込まれる収益の額を基礎として合理的に見積もられる金額を算定し、その根拠を保存している場合には、非適格合併対価の交付時の時価から当該金額を控除した額) 非償却
移転を受ける事業により見込まれる収益の額その他の事情から見て、実質的に被合併法人の欠損金額相当と認められる額
退職給与引受額 非適格合併により引継ぎを受けた従業者に係る退職給付引当金の額 引受従業者の退職時または退職給与の支給時に減額し、益金算入する。
(減額する額は、人数割りによる単純平均額または退職従業者に係る個別対応額)
短期重要債務見込額 移転事業に係る将来債務で、その履行が非適格合併の日から概ね3年以内に見込まれるもののうち、その損失見込額が移転資産の所得価額の20%超であるもの 非適格合併の日から3年以内に損失が生じたときは当該損失額、非適格合併から3年を経過したときは残額を減額し、益金に算入する。

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株主の税務

被合併会社の利益積立金=500
新株式および合併交付金の時価の合計額(2400)
旧株に対応する資本金等の額(1900) みなし配当(500)
旧株の簿価(1000) (株式譲渡損益900)

要件 みなし配当 株式譲渡損益
適格合併 新株のみ交付 なし なし
合併法人株式1000 被合併法人株式1000
非適格合併 新株のみ交付 あり なし
合併法人株式1500 被合併法人株式1000
受取配当金500
金銭等も交付 あり あり
合併法人株式2000 被合併法人株式1000
現金400 受取配当金500
株式譲渡損900

■みなし配当課税とは

交付を受けた新株および合併交付金等の時価の合計から被合併法人の最後事業年度の資本金等相当額を超える金額は配当とみなされる。
合併法人には源泉徴収義務が発生
合併時のみなし配当額=交付新株の時価−被合併法人の資本等の額×被合併法人の株式の保有比率
分割型分割時のみなし配当額=交付新株の時価−分割法人の資本等の額×保有比率×移転簿価純資産÷分割法人の簿価純資産
法人株主 受取配当金として取り扱われ、税務上「受取配当等の益金不算入」の適用を受ける。
(1)合併前6ヶ月以上の期間25%以上保有している株式→みなし配当から負債利子を控除した金額が益金不算入
(2)それ以外の株式→みなし配当から負債利子を控除した金額の50%相当が益金不算入
個人株主 配当所得として給与所得等と合算して総合課税され、配当控除の対象とされる。


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抱き合わせ株式の処理

抱合せ株式とは、合併会社が保有する被合併会社の株式をいう。
合併にあたり抱合せ株式に合併新株を割り当てることについて会社法上明文の禁止規定がない。抱合せ株式に合併新株を割り当てた場合、その合併新株は自己株式になる。
なお、法人税法では、合併にあたっては抱合せ株式に新株を割り当てなかった場合も、割り当てがあったものとして処理される。

抱き合わせ株式の課税関係

適格合併時

合併資産の受入時
簿価純資産100 資本金等60
利益積立金40
 
自己株式の取得
(会計上の仕訳)
資本金等60 子会社株式70
利益積立金40 特別利益30
抱き合わせ株式消却損益は税務上損益を認識しない。
(申告調整)
自己株式の取得
(税務上の仕訳)
資本金等70 子会社株式簿価70
税務上は資本等の額のマイナスとして処理される。

非適格合併(現金交付なし)

合併資産の受入時
時価純資産200 資本等の額200
合併法人の有する子会社株式の簿価は70
被合併法人の時価純資産額は200
合併法人は被合併法人の株式の50%を保有
合併により発行した新株の時価は100
被合併法人の資本の部 (資本金60、利益積立金20)
自己株式の取得
(会計上の仕訳)
資本金等の額200 子会社株式70
特別利益130
抱き合わせ株式消却損益は税務上損益を認識しない。
(申告調整)
自己株式の取得
(税務上の仕訳)
子会社株式70 みなし配当70
資本金等の額140 子会社株式140
交付新株の時価=100
被合併法人の資本等対応額=60×50%=30
みなし配当=100−30=70

※法人株主の場合は「みなし配当」は益金不算入

非適格合併(現金交付あり)

合併資産の受入時
時価純資産150 現金預金150
合併法人の有する子会社株式の簿価は70
被合併法人の時価純資産額は150
合併法人は被合併法人の株式の50%を保有
合併交付金は75
被合併法人の資本の部 (資本金60、利益積立金20)
自己株式の取得
(会計上の仕訳)
資本金等の額200 子会社株式70
特別利益130
自己株式の取得
(税務上の仕訳)
現金預金75 子会社株式70
株式譲渡損失40 みなし配当45
合併交付金=75
被合併法人の資本等対応額=60×50%=30
みなし配当=75−30=45

※法人株主の場合は「みなし配当」は益金不算入
※株式譲渡損失は資本のマイナス

合併にかかる消費税

合併による資産の移転は、適格・非適格に関係なく課税対象外
合併後は被合併法人の基準期間の課税売上高が加味して判定する。

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合併にかか登録免許税、不動産取得税

取引 一般 合併
資本金の増加 増加資本金の1000分の7 増加資本金の1000分の1.5
不動産移転登記 土地価額の1000分の10
建物価額の1000分の20
不動産価額の1000分の4
不動産取得税 3.5% 非課税

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企業結合の分類と会計処理

企業集団内の組織再編か
(例)親・子の再編
   子・子の再編

NO
共同支配に該当するか
(1)独立企業要件
(2)契約要件
(3)対価要件
(5)そのた支配要件

NO
何れの企業も他の企業を支配していないか
(1)対価要件
(2)議決権比率要件
(3)議決権比率以外の支配要件
YES YES YES NO
共通支配下の取引等 共同支配企業の形成 持分の結合 取得
個別FS上、移転元の帳簿価額を
基礎とした会計処理を行う。
なお、少数株主から
子会社株式を追加取得
した場合には
「少数株主との取引」として会計処理
<共同支配企業>
持分プーリング法に準じた方法
<共同支配投資企業>
持分法に準じた会計処理
持分プーリング法
(または準じた方法)
パーチャス法

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共通支配下の取引

組織再編 会計上の分類
(1) 親会社と100%子会社との合併 「共通支配下の取引」
(2) 親会社と100%未満子会社との合併 「共通支配下の取引」
親会社が自社の株式をを少数株主に交付する取引((2)’)は、少数株主との取引の準ずる。
(3) 子会社同士の合併 「共通支配下の取引」
(5) 投資会社と関連会社との合併 「取得」「持分結合」「共同支配企業の形成」のいずれか

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共同支配企業の形成

企業集団内の組織再編か?
YES
共通支配下の取引
↓NO

独立企業要件

共同支配企業を共同で支配する企業(共同支配投資会社)は、複数の独立した企業から構成されている。


NO
「取得」または「持分の結合」
↓YES

契約要件

共同支配投資企業は、次の事項を規定した共同支配となる契約等を文書化し、かつ、その実態が伴っているか?
(1)共同支配企業の事業目的および当該事業遂行における各共同支配投資企業の重要な役割分担
(2)共同支配企業の経営方針および財務に係る重要な経営事項の決定は、全ての共同支配投資企業の同意が必要である旨


NO
↓YES

対価要件

共同支配投資会社に支払われた対価の全てが、原則として議決権のある株式である。
なお、投資企業の中に一般の投資企業が含まれる場合には共同支配企業の議決権の過半数を共同支配投資企業が保有している。


NO
↓YES

その他の支配要件

次のいずれにも該当しない。
(1)いずれかの共同支配投資企業が共同支配企業の重要な経営事項の意思決定機関を支配している。
(2)重要な財務および営業の方針決定を支配する契約等により、いずれかの共同支配投資企業が有利な立場にある。
(3)企業結合後2年以内にいずれかの共同支配投資企業の大部分の事業を処分する予定がある。


NO
↓YES
共同支配企業の形成
(持分プーリング法に準じた処理方法)

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「取得」と「持分の結合」

「共通支配下の取引」または「共同支配企業の形成」以外の企業結合か?
NO
「取得」
(パーチャス法の適用)
↓YES

対価要件

企業結合の対価のすべてが議決権のある株式か?


NO
↓YES

議決権比率要件

(1)結合企業を支配する株主が存在しないか?
(2)企業結合の合意成立日における結合後企業に対する議決権比率が50:50から上下概ね5%ポイントの範囲内か
企業結合日の前日までに、結合当事企業が企業結合日における結合後企業の議決権数の増減を生じさせる取引を行っている場合は、それも含めた上で再判定)


NO
↓YES

その他の支配要件

次のいずれにも該当しない。
(1)いずれかの結合当事企業が結合後企業の重要な経営事項の意思決定機関を支配している。
(2)重要な財務および営業の方針決定を支配する契約等により、いずれかの結合当事企業の株主が有利な立場にある。
(3)企業結合後2年以内にいずれかの結合当事企業の大部分の事業を処分する予定がある。
(5)多額のプレミアムが発生している。


NO
↓YES
持分の結合
(持分プーリング法の適用)

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