平成22年度・税制改正・法人税・所得税・土地・建物税制の解説は
杉野泰雄公認会計士事務所(福岡市博多区博多駅前福岡センタービル)
100%グループ内取引により生じる含み損益のある資産(譲渡損益調整資産)の譲渡損益については、その資産がグループ外に移転する時まで、譲渡損益の計上を繰延べる。
当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係 →同一の個人(同族関係者を含む)または外国法人が100%保有する兄弟会社同士 |
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同族関係者の範囲
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当事者間の完全支配関係 | ||
資産の種類 | 譲渡損益 | ここがポイント | |
金銭債権 | 簿価1000万円以上 | 繰延べる |
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簿価1000万円未満 | 実現させる | ||
棚卸資産 | 実現させる | ||
棚卸資産としての土地 | 簿価1000万円以上 | 繰延べる | |
簿価1000万円未満 | 実現させる | ||
売買目的有価証券 | 実現させる | ||
その他有価証券 | 簿価1000万円以上 | 繰延べる | |
簿価1000万円未満 | 実現させる | ||
その他の流動資産 | 実現させる | ||
有形固定資産 | 簿価1000万円以上 | 繰延べる | |
簿価1000万円未満 | 実現させる | ||
繰延資産 | 簿価1000万円以上 | 繰延べる | |
簿価1000万円未満 | 実現させる |
100%グループ内の法人間において、寄附支出法人は全額損金不算入となり、受領法人は全額益金不算入とする。(従来は全額益金算入)
改正対象はコチラ | 従来どおり | |||
寄附金 | 全額損金不算入 | 全額損金不算入 | 寄附金 | 損金算入限度額超過部分だけ損金不算入 |
受贈益 | 全額益金不算入 | 全額益金不算入 | 受贈益 | 全額益金算入 |
支出法人A | 受領法人B | 支配法人 | ||||
借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | |
会計上 | 寄附金 | 現預金 | 現預金 | 受贈益 | ||
税務上 | 利益積立金 | 現預金 | 現預金 | 利益積立金 | 利益積立金 | A社株式 |
B社株式 | 利益積立金 |
現物配当(現物分配)の場合、従来は配当財産の時価により配当金額を認識し、時価と配当財産の簿価との差額について、配当財産の譲渡益または譲渡損を認識していたが、100%グループ内の内国法人間の現物配当については帳簿価額で承継する。
金銭配当 | 現物配当(現物分配) | |||
会計上 | 現金預金 | 受取配当金 | 現 物(簿価) | 利益積立金 |
税務上 | 現金預金 | 利益積立金 | 現 物(簿価) | 利益積立金 |
株式の区分 | 定義 | 益金不算入割合 | 負債利子 | |
現行 | 連結法人株式等 | 100% | 控除しない | |
改正 | 100%グループ内法人株式 | 配当の計算期間を通して継続して完全支配関係があった他の内国法人の株式 | 100% | 控除しない |
現行 | 関係法人株式等 | 他の内国法人の発行済み株式総数の25%以上を、配当等の支配効力が生ずる日以前6ヶ月以上引き続き所有している株式 | 100% | 控除する |
現行 | 上記以外の株式等 | 上記以外の内国法人の株式 | 50% | 控除する |
H22年9月31日以前解散 | H22年10月1日以後解散 | |
子会社株式の消却損失の損金算入 | OK (清算結了が条件) |
NO |
子会社の未処理欠損金 | 切捨て | 親会社が引き継ぎOK (残余財産確定および適格合併の要件が条件) 但し、みなし共同事業要件を満たしていなくても、@残余財産確定日の翌日の属する事業年度開始の日の5年前の日から継続して50%超の支配関係を有する場合は引継ぎ可能 ※残余財産確定日直前に100%子会社にすることはよくある話?であるが、直前に100%未満にするときは合理的な理由が必要? |
自己株式として取得されることを予定して取得した株式が自己株式として所得された際に生ずるみなし配当については、益金不算入制度(外国子会社配当金不算入制度を含む)を適用しないこととする。
財産法による清算所得課税は廃止され、通常の損益法による所得課税に移行する。
その際は、、期限切れ欠損金の損金算入制度の整備あり。
所得金額の区分 | 期限切れ欠損金 | |
現行制度 | 改正 | |
各事業年度の所得金額 | 所得金額から控除不可 | 同左 |
精算所得金額 | 残余財産額から控除可 | 精算所得課税から通常の所得課税に移行するとともに、控除可 |
条件 | 購入 | リース(注3) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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対象 | 取得価額 | リース料総額 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
機械装置 | 一台280万円以上 | 一契約280万円以上 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
機器備品 | 同種設備120万円以上 | 120万円以上 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
下記のいずれか選択適用 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
税額控除 | 取得価額の7% (法人税額の20%が限度) (控除不足は1年繰越可) |
リース料総額の100%相当額の7% (法人税額の20%が限度) (控除不足は1年繰越可 |
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特別償却 | 取得価額の30% | 適用なし | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
対象事業者 |
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対象業種と設備 |
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対象設備の追加 |
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特別償却 | 税額控除 | 特別償却が有利な場合 | |
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当期の損金経理額 | ◎ | 普通償却とかわらず | 利益を抑えたい場合 株価の評価を下げたい場合 当期の納税を抑えたい場合 |
トータルの節税額 | 普通償却とかわらず | ◎ | 当期および翌期の法人税額で税額控除できない場合 (繰越不足が1年しか繰り越せないため) |
青色申告書を提出する事業者が 平成21年4月1日〜平成23年3月31日 までに 情報セキュリティ対策に対応する設備等を取得した場合 |
資本金の額 | 選択適用 | 控除限度 | |||||||||
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1億円以下 | 1億円超10億円以下 | 10億円超 | 税額控除 | 特別償却 | 法人税額の30% (控除限度超過額は翌1年間繰越OK) |
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情報基盤強化設備の購入額 | 70万円以上 | 3000万円以上 | 1億円以上200億円 | 取得価額の7% | 取得価額の35% | |||||||
情報基盤強化設備のリース総額 (平成20年4月1日以降締結するリース契約から、 ファイナンスリース取引は全て売買処理となったため、 リース税額控除制度は廃止。また、所有権移転外ファイナンスリースは特別償却の適用なし。 |
70万円以上 | なし | なし | リース総額の100%相当額の7% |
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対象法人 |
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(情報基盤強化設備の範囲) | (1)ネットワーク管理サーパーOS、同時設置にPCサーバー(耐用年数5年のもの) | |||||||||||
(2)データベース管理ソフト、同時設置の遠隔操作ソフト | ||||||||||||
(3)ファイアーウォール目的のハードウェア及びソフトウェア | ||||||||||||
(4)部門間・企業間で分断されている情報システムを連携するソフトウェア | ||||||||||||
(5)SO/IEC15408の認証を受けている投資物 | ||||||||||||
(6)SaaA・ASP事業者が適用対象(明確化) |
条件 | 購入 | リース(注3) |
対象設備 | 取得価額 | リース料総額 |
機械装置(すべて) | 一台160万円以上 | 一契約160万円以上 |
機器備品(注1) (電子計算機、デジタル複合機等) |
同種設備120万円以上 | 同種設備120万円以上 |
普通貨物自動車 | (一台3.5トン以上) | |
内航船舶 | 内航船舶(但し、取得価額の75%が対象) | |
ソフトウェア (業務ソフト、自社開発ソフト、バージョンアップ費用等) |
70万円以上 | 70万円以上 |
下記のいずれか選択適用 | ||
税額控除(注2) (資本金3000万円以下) |
取得価額の7% | リース料総額の100%相当額の7% |
特別償却 | 取得価額の30% | − |
控除限度 | 法人税額の20% | |
(注1)減価償却資産として計上する必要があり、30万円未満を一括償却できる少額減価償却資産の特例(措置法28条の2)を利用した場合は適用外となります。 (注2)資本金3000万円以下の中小企業者等(特定中小企業者)しか取得の場合の税額控除と特別償却の選択適用ができません(それ以外は特別償却のみ)。 (注3)所有権移転外ファイナンスリース契約については、会計上資産計上は条件とされない。 |
中小企業者等の範囲 | ||
資本金基準 | 従業員基準 | |
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法人 | 1億円以下 (但し大規模法人の子会社は除く) (中小企業新事業活動促進法にかかる経営革新等の要件を満たした場合は製造業等で3億円以下かで緩和) |
資本金を有しない法人で、常時使用する従業員の数が1000人以下 |
個人 | − | 常時使用する従業員の数が1000人以下の個人事業主 |
農業共同組合 | 制限なし | 制限なし |
青色申告提出法人 または個人 |
選択適用 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
税額控除 (※中小企業者のみ) |
特別償却 (中小企業者+大企業) |
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基準取得価額の7% 法人税額の20%が限度 (控除限度超過額は翌1年間繰越OK) |
↓ 100%即時償却 (特別償却不足額は翌1年間繰越OK) |
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取得価額 | 償却方法 | 対象 | コメント | 2年延長 |
30万円未満 | 全額損金算入 | 中小企業者のみ | 合計300万円まで | H22年4月1日からH24年3月31日まで取得 |
20万円未満 | 3年間で均等償却 | すべての企業 | 本則 | |
10万円未満 | 即時償却 | すべての企業 | 本則 |
中小企業者※ | 資本金基準 | 従業員基準 |
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法人 | 1億円以下 (但し大規模法人の子会社は除く) (中小企業新事業活動促進法にかかる経営革新等の要件を満たした場合は製造業等で3億円以下かで緩和) |
資本金を有しない法人で、常時使用する従業員の数が1000人以下 |
個人 | − | 常時使用する従業員の数が1000人以下の個人事業主 |
現行 | 改正 | |
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暦年課税 | 基礎控除(110万円)+住宅非課税措置(500万円)=610万円 | 基礎控除(110万円)+住宅非課税措置(1500万円)=1610万円 |
現行 | 改正 | |||
一般枠 | 住宅取得資金枠 | 一般枠 | 住宅取得資金枠 | |
贈与者 | 65歳以上の親 | 65歳未満もOK | 65歳以上の親 | 65歳未満もOK (2年延長) |
受贈者 | 贈与年の1月1日現在20歳以上の推定相続人 | 贈与年の1月1日現在20歳以上の推定相続人 | ||
特別控除 | 2500万円 | 2500万円 | 2500万円 | 2500万円 |
住宅資金特別控除 | 0 | 1000万円 | 0 | 廃止 |
住宅非課税措置 | − | 500万円 | − | 22年度は1500万円 23年度は1000万円 |
宅地等 | 現行 | H22年度改正 | ||||
上限面積 | 減額割合 | 上限面積 | 減額割合 | |||
被相続人または 被相続人の同一生計親族の 事業用 |
事業継続 (不動産貸付以外) |
400u | ▲80% | 400u | ▲80% | |
非継続 | 200u | ▲50% | − | 廃止 | ||
不動産貸付 | 特定同族会社事業用宅地 | 400u | ▲80% | 400u | ▲80% | |
貸付事業用宅地等 | − | − | 200u | ▲50% | ||
その他 | 200u | ▲50% | ー | 廃止 | ||
被相続人または 被相続人の同一生計親族の 居住用 |
居住継続※ | 240u | ▲80% | 240u | ▲80% | |
非継続 | 200u | ▲50% | − | 廃止 |
保険料負担者 | 被保険者 | 受取人 | 保険金に受取人Bにかかる課税 | |
一時金の場合 | 年金の場合 | |||
B | A(生存) | B | 一時所得 | 雑所得 |
A | A(死亡) | B | 相続税 | 相続開始時:年金受給権として相続税 年金受取時:雑所得 |
A | C(死亡) | B | 贈与税 | 相続開始時:年金受給権として贈与税 年金受取時:雑所得 |
A | B(生存) | B | 贈与税 | 相続開始時:年金受給権として贈与税 年金受取時:雑所得 |
年金受給権としての評価 | 現行 | 改正 | |
給付事由発生 | 有期定期金 | 「年金給付金総額×残存期間に応ずる割合」 と「給付金年額×15倍」のいずれか低い金額 |
@解約返戻金相当額 A一時金相当額 B給付金年額×約定利率の複利年金現価率 上記のいずれか高い金額 |
無期定期金 | 「給付金年額×15倍」 | @解約返戻金相当額 A一時金相当額 B1年間に受けるべき金額÷約定利率 上記のいずれか高い金額 |
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終身定期金 | 給付金年額×受給権者の年齢に応ずる倍数 | @解約返戻金相当額 A一時金相当額 B給付金年額×約定利率の複利年金現価率 上記のいずれか高い金額 |
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給付事由未発生 | 払込済保険料総額×払込開始時からの 経過期間に応ずる割合 |
解約返戻金相当額 |
現行 | 改正 | |
障害者控除額 | 6万円×(70歳−その障害者の年齢) | 6万円×(85歳−その障害者の年齢) |
特別障害者控除額 | 12万円×(70歳−その障害者の年齢) | 12万円×(85歳−その障害者の年齢) |
所得税 | 住民税 | ||||
年齢 | 扶養者区分 | 現行 | 改正 | 現行 | 改正 |
0〜15歳 | 年少扶養親族 | 38万円 | 廃止 | 33万円 | 廃止 |
16〜18歳 | 特定扶養親族 | 63万円 | 38万円 | 45万円 | 33万円 |
19〜22歳 | 63万円 | 63万円 | 45万円 | 45万円 | |
23〜69歳 | 成年扶養親族 | 38万円 | 38万円 | 33万円 | 33万円 |
70歳〜 | 老人扶養親族 | 48万円 | 48万円 | 38万円 | 38万円 |
同居老親等 | 58万円 | 58万円 | 45万円 | 45万円 |
生命保険料控除限度額 | 所得税 | 住民税 | ||
H23.12.31以前の契約のみ | H24.1.1以後の契約含む | H23.12.31以前の契約のみ | H24.1.1以後の契約含む | |
一般生命保険料控除 | 5万円 | 4万円 | 3.5万円 | 2.8万円 |
個人年金保険料控除 | 5万円 | 4万円 | 3.5万円 | 2.8万円 |
介護医療保険控除 | − | 4万円 | − | 2.8万円 |
合計 | 10万円 | 12万円 | 7万円 | 7万円 |
改正前 | 改正後 | ||
H22.12.31までに融資を受けたもの | H23.1.1以後に融資を受けたもの | ||
勤務先または勤務先が構成員となる一定の事業主団体からの貸付 | 貸付金利が基準年利率以上であれば課税なし (基準年利率未満の部分は課税) |
同左 | 貸付金利が通常の利率よりも低い部分を給与として課税 |
銀行等からの借入金に対する利子補給 | 利子補給後の実質負担金利が基準年利率以上であれば課税なし (基準年利率未満の部分は課税) |
同左 | 利子補給後の実質負担金利が通常の利率よりも低い部分を給与として課税 |
項目 | 条文 | 改正後期限 | 備考 |
特定の居住用資産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例 | 措置法36の2 〜36の5 |
H23.12.31 | 追加要件 譲渡対価2億円以下 |
居住用資産の買換えの場合の譲渡損失の損益通産および繰越控除 | 措置法41の5 | H23.12.31 | − |
特定居住用資産の譲渡損失の損益通産および繰越控除 | H23.12.31 | − |
所有期間 | 軽減税率 | 特別控除 | 買換え |
10年超 | 適用 | 適用 | 適用 |
5年超10年以下 | 不適用 | 適用 | 不適用 |
寄附先 | 国・地方公共団体 | 指定寄附金 | 特定公益増進法人 | 認定NPO法人 |
寄附者の所得税 | 寄附金控除額=支出寄附金額−5000円(改正後2000円) ※総所得の40%相当額が限度 |