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就業規則の重要性
◆就業規則の重要性
今日、労働問題が急増しており、とてもいちいち裁判なんてやってられないので、国では「個別労働紛争解決促進法」という、裁判にかけないでトラブル解決を合法的にはかろうという法律を平成13年10月につくりました。
この法律のもとづく労働問題相談件数は一年で65万件を超えるいきおいです。
労働争議がおこったときに決定的な判断材料となるのが「就業規則」です。
就業規則に規定していたかどうかで、企業が勝つか労働者が勝つかが決定的になります。
◆就業規則の法的性格
就業規則は、労働基準法で常時10人以上の従業員を使用する会社に対して、労働基準監督署への提出が義務付けられています。
「労働基準法」>「労働協約」>「就業規則」>労働契約
就業規則は会社の憲法であり、会社側の営利主義と社員側の個人主義の対立をうまく調整していくいためにも、早急に就業規則の見直しをはかり、会社の未来型労務管理を実践しなければなりません。

就業規則Q&A
1.中途採用決定者の内定取り消しの有効性は?
2.試用期間中の社会保険の取り扱いは? 試用期間満了以前の解雇の有効性は?
3.正社員と契約社員の労働条件に格差をつけてもよいか?
4.茶髪やイヤリングをしてきた営業マンへの対処法は?
5.社員がインターネットの掲示板やホームページの書き込みで、会社の悪口や機密事項をもらしている場合の対処法は?
6.同業他社への転職をしようとしている社員への制限のしかたは?
7.毎月定額の残業代を払っていますが、従業員がなんだか損した気分だと苦情を言ってきた。
8.休日に働いたのにもかかわらず、割り増しがされていませんでした。
9.いちばん残業代が少なくなる労働時間制度はなんですか?
10.当日請求された有給休暇は拒否できるか?
11.今月末の退職者が残った有給休暇を買い上げて欲しいと言ってきたが・・・
12.年次有給休暇の繰越分と新規発生分はどちらを先に充当するのですか?
13.ある社員が怪しげな新興宗教の信者であることが判明した場合、解雇できるか?
14.遅刻、早退が3回で「一日の欠勤」扱いとしているが、法的に問題があるのか?
15.契約社員は年俸制なので、時間外手当(残業代)は払わなくても大丈夫でしょうか?
1.中途採用決定者の内定取り消しの有効性は?
内定をだした直後に経営が急に悪化したため、内定の取り消しか当初提示した給与の引き下げを考えているのだが、その社員が納得してくれない。
採用内定の取り消しは「解雇」にあたります。整理解雇の要件にあてはまらなければ取り消しは無効
整理解雇の要件
@人員整理の必要性
A手段として整理解雇をおこなうことの必要性
B解雇者選定の合理性
C解雇手続きの妥当性

実務上は就業規則と採用内定通知に次の条項を明記しておくことが必要
「会社は、以下のときに採用内定を取り消す場合がある。
1.予定をしていた卒業ができなかったとき
2.予定をしていた資格の取得ができなかったとき
3.経歴詐称があきらかになったとき
4.履歴書の不実記載があったとき
5.経営環境の激変があり、雇用調整が必要となったとき
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2.試用期間中の社会保険の取り扱いは? 試用期間満了以前の解雇の有効性は?
当社は社員の定着が悪いため、試用期間3ヶ月たったあとで正社員として採用した時点で社会保険に加入しています。試用期間の終了時点で雇用継続の意思がないことを伝える場合もあります。
法的に問題はありますか?
社会保険は入社日から加入しないといけません。
試用期間中、本採用しないことを決めた場合は、入社から14日を超えているときは、通常解雇と同じ扱いとなり、平均賃金の1ヶ月分の解雇予告手当の支払いが必要になります。
なお、試用期間中の解雇の要件は、通常解雇よりは若干ゆるやかと考えられます。
試用期間中の解雇の要件(例)
@遅刻、早退、欠勤が明らかに多い
A無断欠勤を繰り返す
B必要な業務を習得する能力と意欲の欠如
C提出義務書類の不履行
D採用の基準となった専門技術や資格、経歴の詐称発覚・・・など

ただし、実際に入社にて数ヶ月で辞める新入社員が多い場合は、「2ヶ月以内の短期雇用契約」を試してもよいとでしょう。
この期間中は社会保険にはいらなくてもよいです。
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3.正社員と契約社員の労働条件に格差をつけてもよいか?
当社では、仕事の内容はさほどかわりはないのですが、採用時に正社員と期間契約の契約社員とに区別し、それぞれに就業規則を制定しています。契約社員の方が給与が低くなっていますが、法的に問題はありませんか?
正社員と契約社員あるいはパートタイマーについて別個の賃金体系があること自体は、労働契約の相違から生じる必然的な結果であり違法ではない。
しかし、同等の正社員の賃金の8割以下となる場合は労働契約自由の許容範囲を超え違法とされる可能性があります。
契約社員やパートタイマーを雇用する際に「労働契約」を結ぶことがありますが、それよりも「就業規則」が優先されるので、「就業規則」には個別の労働契約との関係を明確に規定しておく必要があります。

「契約社員、パートタイマーについては、雇用に際して個別に締結する労働契約により就業条件を決定するものとする・・・」
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4.茶髪やイヤリングをしてきた営業マンへの対処法は?
清潔感や固さを伝統とする我社の営業マンが茶髪やイヤリングをしてきたら顧客の信頼も失いとんでもない損失をこうむってしまいます。とうの営業マンは今どき髪を染めていない方が少ないくらいのことをいい、元にもどそうとしません。
就業規則の服務規律に明示してあり、繰り返し注意してもなおらない場合は懲戒の対象となります。
会社側として、どうしても認めたくない身だしなみや服装などがあれば、就業規則の服務規律のきちんと明示する必要があります。
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5.社員がインターネットの掲示板やホームページの書き込みで、会社の悪口や機密事項をもらしている場合の対処法は?
言いたいことがあれば直接いえばいいのに、会社に対する腹いせにインターネットの掲示板や自分のホームページに会社の悪口や機密情報を漏洩しています。
就業規則で機密保持の条項を規定していれば服務規律違反として懲戒の対象とできる場合があります。
会社側が社外秘としていることに一定の合理性が認められ、その事実が一般に知られていないことであれば、機密性があると考えられます。その機密事項を漏洩しているのであれば、立派な服務規律違反となります。
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6.同業他社への転職をしようとしている社員への制限のしかたは?
就業規則で「離職後の同業への転職や起業を禁止する」と規定しているので、ライバル会社に転職しようとしている社員に転職をしないように申し入れをしたが、これに応じようとしない。
労働契約もしくは就業規則で競業禁止の特約を具体的にかつ合理的に規定していれば一定の期間だけライバル会社への転職を禁止することはできる。
労働契約もしくは就業規則で競業避止義務の条項を明示すること
・どんな職種、業務を対象とするのか
・制限年数は何年か
・対象地域はどうするか
・代償的な措置はどうするか

この競業避止義務の条項が有効であれば、社員の同業他社への就職をさし止めできるし、仮にそれでも同業他社へ転職した場合は退職金を減額もしくは不支給にすることも可能。
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7.毎月定額の残業代を払っていますが、従業員がなんだか損した気分だと苦情を言ってきた。
残業代の計算がめんどうなので、過去数ヶ月間の残業時間の平均をとって、定額の残業手当を支給しています。実際の残業時間を聞いてみても平均すると定額の残業代を超えていません。
ただ、社員が平均の残業時間を超えた月の残業代が損をした気分になるといっています。
実際の残業時間が固定残業代(時間)を超えていれば差額をはらう義務がありますが、超えていなければ現状のままでかまいません。
各月の残業時間のでこぼこについて労使ともに精算を主張する場合は毎月精算しなければなりませんが、合理的な相殺のルールを就業規則でさだめていれば問題はない。
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8.休日に働いたのにもかかわらず、割り増しがされていませんでした。
当社は所定の休日を土曜、日曜としています。この度土曜出勤をした従業員にたいして、翌週の月曜日に休日を振り替えましたので、割り増し賃金は払いませんでした。
所定の休日(≠法定休日)をあらかじめ別の労働日に振り替えているので、割り増しの対象ではなくなります。
労働基準法では「法定休日」の場合には3割5分増しの割増賃金を支払うこととしています。
この場合「法定休日」とは、毎週少なくとも一回、または4週間を通して4日以上の休日とされていますので、週休2日が定着した今日では法定休日以外の所定休日に働いたとしても割増の対象にはなりません。
厳密には事前に休日を振り替えるのが「振り替え休日」であり、あとから余裕ができたからといって別の労働日に休ませた場合は「代休」となる。
「代休」の場合は割増賃金が必要になるので注意。
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9.いちばん残業代が少なくなる労働時間制度はなんですか?
現在の労働基準法では週40時間制度が義務付けられていますが、もっとも残業代を少なくすることができる方法はなんですか?
「一年単位の変形労働時間制」です。
いちばん損なのは「一週間単位の週40時間」であり、月曜から金曜までが8時間労働で、土日が休みという方法です。
このやり方だと、平日にお盆や正月休みや祭日が入ると、ダイレクトに労働日数が減り、その祭日に働くと時間外手当の対象になります。
これに対して「一年単位の変形労働時間制」は一年単位の変形労働時間制は、1年以内の期間を単位として労働時間を弾力的に設定し、トータルで見れば1週平均40時間以内となる、というものです。
仮に変形期間を4カ月間とし、繁忙期の2カ月間の週所定労働時間を46時間とし、それ以外の2カ月間(できれば閑散期)の 週所定労働時間を34時間としたなら、変形期間の4カ月間の週平均所定労働時間は40時間になります。所定労働時間に対しては時間外手当の支給は不要ですから、それによって、時間外手当の総額を抑えることができます。
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10.当日請求された有給休暇は拒否できるか?
チームで仕事をする会社なので、当日の朝にいきなり有給休暇をとりたいと言われても、業務の正常な運営の妨げになるので、欠勤扱いとし、勤務査定にも反映させたいと考えているのですが、法的に問題はありませんか?
就業規則に年次有給休暇の請求規定をうたってなければ、当日請求であっても有効とされる場合がある。
労働基準法では「使用者は労働者の請求する時季に有給休暇を与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季にこれを与えることができる。」とされています。
つまり使用者の時期変更権を有効にするために、事前の検討期間を置くことが予定されていると考えられます。
したがって、就業規則において、「所得日の2日前までに請求すること」という規定は有効である。
また、有給休暇の5日を超える部分においては会社が計画的に与えることができる。
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11.今月末の退職者が残った有給休暇を買い上げて欲しいと言ってきたが・・・
9月20日に、有給休暇が30日残っている社員が9月いっぱいで辞めるといってきた。
9月20日から出社しないので、末までの10日間は有給休暇処理するが、10月以降の20日分については社員でなくなるから買い上げはするつもりはないが、問題はあるか?
退職日現在で未消化となった有給休暇については効力はなくなります。
退職日を過ぎたら社員ではなくなるため、社員としての権利である有給休暇請求権はなくなると考えられます。但し、会社が自主的に買い上げることは自由です。
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12.年次有給休暇の繰越分と新規発生分はどちらを先に充当するのですか?
当社は就業規則で、新規発生分から先に充当すると規定していますが、法的に問題がありますか?
就業規則に規定してあれば問題ありません。
年次有給休暇の消滅時効は2年間であり、今年の有給休暇を使わなかった場合は、来年度に使うことができます。
しかし、その年に使われた有給休暇がその年に発生した分なのか、前年度から繰り越されてきたものかは明文化されていません。
したがって、就業規則において
「請求された有給休暇は、前年度の繰越分がある場合も、充当は当年度分からおこなう」と規定すれば有効となる。
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13.ある社員が怪しげな新興宗教の信者であることが判明した場合、解雇できるか?
労働基準法上、個人の信条を理由とする解雇は認められていません。
ただし、その者が勤務中に職務と関係ない宗教関係の印刷物の配布をしたり、他の社員を勧誘するなど、業務に支障をきたすような場合は、懲戒解雇の対象になります。
このことも就業規則に明文化しておく必要があります。
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14.遅刻、早退が3回で「一日の欠勤」扱いとしているが、法的に問題があるのか?
就業規則で「1ヶ月に遅刻、早退を3回した場合は、1日欠勤したものとみなし、月給額から控除する」と規定しているがが法的に問題はありませんか?
ペナルティーとして給与を減額できるのは、1日の半額分が限度です。
ペナルティとして減給する場合は、一回につき一日分の平均賃金の半額まで(月給の場合は月給の10分の1まで)が限度とされています。
したがって、実際に課することができるのは、一日の半額分と実際に遅刻・早退した給料相当分の控除となります。
当然この制裁規定も就業規則に規定することになります。
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15.契約社員は年俸制なので、時間外手当(残業代)は払わなくても大丈夫でしょうか?
契約社員が従事する業務や労働時間はあらかじめ計算できるので、事前に年俸額を計算して、採用時に提示し、時間外労働に対する割増賃金は払わないことを通知しています。特に問題はないと思いますが・・・
法的には、社員の労働時間を管理しなければならない場合には、年俸制とはいえ、法定労働時間外や休日労働の割増手当は必要となります。
ただし、以下の場合は追加の割増手当の支給は不要となります。
@法的に時間管理が不要である「裁量労働対象者」「管理監督者」「みなし労働時間制適用者」が対象
A残業時間を込みにした労働契約とする。(その場合は残業時間分を明明示しておく)
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