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企業防衛と資本政策のまとめ
企業防衛とは 具体的な資本政策
持株比率と経営支配権 スーパーマジョリティ条項
株主の性格 企業防衛のための取締役対策
株式譲渡(税務上の留意点)
株主割当増資
第三者割当増資
新株予約権
ストックオプション
種類株式の発行
金庫株(自己株式)の活用
財産保全会社の設立

持株比率と経営支配権
持株比率 株主の権利(公開会社の場合)
100% 定款を変更して普通株式を「取得条件付株式」に変更する場合
過半数の出席
総議決件数の2/3以上の賛成
特殊決議承認権限
全部の株式に譲渡制限を設ける定款変更決議他
過半数の出席
出席株主の議決権の2/3超の賛成
特別決議承認権限
(監査役の解任、定款変更、組織再編、株式交換、資本の減少、特定者からの自己株式の取得他)
過半数の出席
出席株主の議決権の1/2超の賛成
普通決議承認権限
取締役の解任、取締役・監査役の選任、取締役・監査役の報酬決定、計算書類の承認、会計監査人の選任他)
総議決権の1/3超 特別決議拒否権
総株主の議決権の10%以上または発行済株式の10%以上 会社解散請求権(833)
総株主の議決権の3%以上 取締役等の定款授権のよる免責に対する意義申立権(426)
総株主の議決権の3%以上または発行済株式の3%以上 業務・財産検査役選任請求権(358)
帳簿閲覧請求権(433)
総株主の議決権の3%以上または発行済株式の3%以上
      +
6ヶ月間継続保有(注1)
特別清算人における調査命令申立権(522)
取締役・監査役、清算人に解任請求権(854、479)
総株主の議決権の3%以上
      +
6ヶ月間継続保有(注1)
株主総会の召集請求権(297)
総株主の議決権の1%以上
      +
6ヶ月間継続保有(注1)
株主総会の検査役請求権(306)
総株主の議決権の1%以上または300個以上 株主提案権(303)
議決権1個以上
      +
6ヶ月間継続保有(注1)
取締役の責任追及及び代表訴訟提起権(847)
取締役等の違法行為差止請求権(360)
(注1)非公開会社の場合には6ヶ月の保有期間の制限はない。
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スーパーマジョリティ条項
定義 スーパーマジョリティ条項とは、定款を変更して買収側が要求するであろう合併や営業譲渡等の決議要件を法律の定めより加重することをいう。
効果 例えば、株主総会の特別決議の要件を3分の2から「合併・営業譲渡等の決議要件を90%以上の賛成を要す」と変更すると、買収側は90%以上の株式を買収せざるを得ず、資金的に断念する可能性が高くなる。
注意 定款変更の決議要件も過重しておく。
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株主の性格
種類 コメント 安定度 割当方 理想比率
中期 長期
オーナー・
同族株主
一番の安定株主ではあるが、相続時に相続人に株式が分散し、また、相続人が納税資金確保のため株式を売却することも考えられる。 株主割当 67%
財産保全会社 株式の分散化を防ぐために「財産保全会社」を設立させ、オーナー所有の株式を移転し、間接保有に切り替える。
一般的には保険代理店業務や不動産管理業務をさせることが多い。
株主割当
第三者割当
グループ会社 グループ会社間で株式の持合をする。
@親会社株式の取得禁止 子会社または孫会社は親会社の株式を取得することは原則禁止されている。
但し、子会社が合併した結果、子会社が親会社の株式を取得する場合があるが、議決権を行使できない。
A相互保有株式の議決権の制限 発行済み株式総数の25%超を保有された会社は、保有会社の株式についての議決権を行使できない。
25%超保有会社はその株式に対する議決権を行使できる。
株主割当
第三者割当
貸し株・借株 株式の保有者と第三者が一定期間、株式の貸し借りを行う。
契約的には一種の消費貸借があるが、株券の所有権は借りてに移転し、議決権や配当金を受領することができる。
従業員持株会 従業員が従業員持株会を組織し、毎月一定金額の積み立てを行って会社の株式を購入しする制度
従業員の福利厚生の一環として会社が毎月一定金額の援助をすることが多い。
従業員の退職の際には持株は一旦従業員持株会が取得するなど、株式売却防止策を講じる必要あり。
第三者割当 5%
非同族役員 役員が経営責任を示す意味でも第三者割当増資により保有させることを検討
株式そのものでなく、ストックオプションを活用することも可能。
但し、非同族役員の場合は退職により株式売却の可能性が高いため、長期的には安定株主とはならない。
× 第三者割当  
役員持株会 非同族役員が役員持株会を組織し、毎月一定金額の積み立てを行って会社の株式を購入しする制度 第三者割当
取引先 安定株主対策としての株式持合いも考えられるが、一般的に資産効率が悪く一般株主の利益に反する「資産の塩漬け」と批判されないように注意すべき。
また、業務提携を前提としたビジネスライクの資本関係が多くなっているので、いざというときには安定株主とならない可能性がある。
第三者割当  
取引先持株会 下請け業者や取引先に呼びかけ「取引先持株会」を組織し、毎月の取引高の一定割合を拠出してもらうか、毎月若干の資金を拠出してもらいながら、取引先持株会を通して会社の株式を購入してもらう。 第三者割当
金融機関 銀行は安定株主としては期待できない。
生命保険会社、損害保険会社は安定株主として期待できる。
第三者割当  
ベンチャー
キャピタル
中期的には安定株主として期待できる。
上場時には株式は市場で売却されることを覚悟しておく必要がある。
× 第三者割当 10%
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企業防衛のための取締役対策
取締役の定員制限 「○人以上」という定めは敵対的買収側の役員が無制限に送り込まれる可能性があるので、「○人以内」として取締役の定員の制限をしておく。
取締役の資格制限 公開会社は取締役の資格を株主に限定することは禁止されているが、非公開会社については、定款に記載することにより株主に限定することができる。
取締役の解任決議の厳格化 定款に特段の定めがない限り、株主総会の普通決議で取締役を解任できるため、敵対的買収側が過半数の議決権を取得してしまうと役員が全員解任させられる危険性がある。
そこで、従来の特別決議以上の要件にしておく。
退職慰労金条項 敵対的買収が成功したら、従来の取締役は解任され、買収者側の取締役が多数千人されることが予想される。
その為、従来の取締役に対し、割増退職慰労金を支給する規定を設けることにより、買収に要する費用を増大させ、買収を予防する。
■安定株主が過半数を占める非公開会社の場合
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株式譲渡(税務上の留意点)

(例 取得価格=500円 適正時価=1500円 実際譲渡価格=600円or2000円)

(売主⇒買)

適正時価

低廉譲渡(600円)

売主

買主

個人⇒個人

相続税法評価額

譲渡所得税
(600−500)×20%

贈与税
(1500−600)×贈与税率

個人⇒法人

(個人)所得税法評価額

(法人)法人税法評価額

譲渡所得税(注1)
(1500500)×20%

法人税(受贈益)
(1500600)×法人税率

他の株主に対して贈与税の可能性

法人⇒個人

寄付金課税(賞与)
(1500600)
(役員の場合は役員賞与扱いとされ、損金不算入とされる)

所得税(一時所得)
(1500600)×税率

法人⇒法人

法人税法評価額

法人税
(600−500)×法人税率

法人税(受贈益)
(1500600)×法人税率

寄付金課税
(1500−600)
(寄付金損金算入限度額を超える分は損金に算入されない)


(売主⇒買)

適正時価(注2)

高値譲渡(2000円)

売主

買主

個人⇒個人

相続税法評価額

贈与税
(2000−1500)×贈与税率
譲渡所得税
(1500-500)×20%

なし

個人⇒法人

(個人)所得税法評価額

(法人)法人税法評価額

所得税(一時所得)
(20001500)×税率

寄付金課税(給与賞与
(2000−1500)
(役員の場合は役員賞与扱いとされ、損金不算入とされる)

譲渡所得税
(1500−500)×20%

法人⇒個人

法人税
(2000−500)×法人税率
(高額部分は受贈益)
(他の株主に対して株価上昇分の贈与があったとみなされる場合あり、他の株主に贈与税が課される可能性あり)

法人⇒法人

法人税法評価額

法人税
(2000−500)×法人税率
(高額部分は受贈益)

寄付金課税
(2000−1500)
(寄付金損金算入限度額を超える分は損金に算入されない)

(注1)個人から法人へ時価の二分の一未満で売却した場合は「みなし贈与課税」が適用(注2)実務上、所得税法上の株価=法人税法上の株価=相続税法上の株価

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株主割当増資
株主割当増資とは
「株主割当増資」とは、既存株主の持株比率の割合に応じて新株を割り当てることである。
株主割当増資手続きの簡略化
原則 例外(新会社法)
株主総会の普通決議が必要 株式譲渡制限会社における株主割当増資について、資金調達目的がなく、既存株主の持株数を増やすためならば、株主総会の承認を経ず、取締役会だけの承認で済ますことができるよう定款に定めることができる。
(取締役非設置会社の場合は取締役のみの承認)
オーナーの持株比率が高いときに、オーナーの持株数の絶対数を増加させることができるため、外部資本導入前に株主割当を実施すると効果的。
株主割当増資の課税関係のまとめ
引受株主 失権株の有無 課税関係
引受株主 失権者
個人 失権株なし なし なし
失権株あり
(打切増資)
原則なし
但し、発行法人にとって有利な価額で株式割当を行った場合は、失権者から引受株主対する贈与認定の可能性あり
なし
法人 失権株なし なし なし
失権株あり
(打切増資)
原則なし
但し、発行法人にとって有利な価額で株式割当を行った場合は、失権者から引受株主対する寄付金認定(引受株主は受贈益)の可能性あり
なし
※発行価額は額面で時価でも何でもよく決まりはない。
※「失権株」とは株主が会社に新株引受権の放棄をし、資金の払込に応じなかった新株のこと
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第三者割当増資
第三者割当増資とは
第三者割当増資とは、既存の株主を含め、特定の者に対して新株を割り当てることをいう。
(割当を受けた者の持株比率は増加するが、発行済株式数が増加するため、割当てを受けなかった既存株主の持株比率は低下する。)
授権資本枠
  会社設立時は会社が発行できる株式総数(授権資本枠)を定款に定め、少なくともその4分の1の株式を発行することになっている。しかし、過去に新株を発行した場合は授権資本枠の残りが少なくなっている場合があるので、事前に、最低でも発行済み株式数の2倍、理想は4倍まで増加変更しておくこと。
第三者割当増資の承認決議
時価による発行 時価を下回る有利発行(10%超低い場合)
従来 新会社法より
@第三者割当増資を実施する旨の株主総会の特別決議 @第三者割当増資を実施する旨の株主総会の特別決議 @第三者割当増資を実施する旨の株主総会の特別決議
「株式の種類」「株式の数」「発行価額の下限」を決定
不必要 A有利発行を実施するむねの株主総会の特別決議 不必要
■承認決議
新株の発行価額は「時価」であるが、役員や従業員に対して特に有利な価額(安い価額)で発行する場合は株主総会の特別決議が必要。
また、敵対的買収をしかけられてから、経営者の保身のための「不公正発行」と認められる場合には、第三者割当増資が差止められる可能性があるので注意。
新株発行無効の訴え
  株式譲渡制限会社の場合は、新株発行の事実を知ってから1年以内に無効を提訴することができる。(公開会社は6ヶ月)
■第三者割当増資の課税関係
時価を下回る定額引受(有利発行)の場合
引受株主 新株付与目的 会社区分 既存株主と引受株主の関係
課税区分
個人 給与等・退職金目的 同族会社
非同族会社
所得税(給与所得・退職所得)
上記以外 非同族会社 所得税(一時所得)
同族会社 親族以外
親族 贈与税(受贈益)
法人 法人税(受贈益)
※課税対象は、増資後の時価増額と引受価額との差額となる。
時価を上回る高額引受の場合
引受株主 課税区分 既存株主 課税区分
個人 贈与または寄付金 個人 贈与税(受贈益)
法人 法人税(受贈益)
法人 賞与・退職金または寄付金 個人 所得税(給与・退職・一時)
法人 法人税(受贈益)
※課税対象は、増資後の時価増額と増資前の時価総額との差額となる。
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新株予約権の発行
新株予約権とは、あらかじめ定められた価額を払い込むことで、株式を取得できる権利のことです。
新株予約権が時価発行であれば取締役会決議で発行可能であり、有利発行であれば株主総会の特別決議が必要。
■ポイズン・ピル条項
ポイズンピルとは、発行済み株式の一定割合以上が買い占められた場合に、既存の株主に有利な価額で新株の買取権を与える条項を予め定めておき、いざというときに買収者の持株比率を低下させる目的のもの(定款変更)
■新株予約権の課税関係
ストックオプション以外 取得者 区分 権利取得時 権利行使時 株式譲渡時
個人 所得区分 なし なし 譲渡所得
譲渡対価−取得価額(新株予約権の発行価額+権利行使価額)
取得価額 新株予約権の発行価額 新株予約権の発行価額+権利行使価額
法人 所得区分 なし なし 法人税(売却損益)
譲渡価額−取得価額(新株予約権の発行価額+権利行使価額)
取得価額 新株予約権の発行価額 新株予約権の発行価額+権利行使価額
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ストックオプション
ストックオプションとは、新株予約権を役員・従業員等へのインセンティブプランとして付与するものをいう。
通常、無償で付与されるため、有利発行とみなされ株主総会の特別決議が必要。
■ストックオプションの課税関係
付与者が個人で税制特例による非適格の場合
取得者 区分 権利付与時 権利行使時 株式譲渡時
個人 所得区分 なし 所得税(給与・退職・事業・雑)
権利行使時の時価−権利行使価額
所得税(譲渡)
譲渡価額−取得価額(権利行使時時価)
取得価額 ゼロ 権利行使時の株式時価
付与者が個人で税制特例による適格の場合
取得者 区分 権利付与時 権利行使時 株式譲渡時
個人 所得区分 なし なし 所得税(譲渡)
譲渡価額−取得価額(権利行使価額)
取得価額 ゼロ 権利行使価額
付与者が法人のとき
取得者 区分 権利付与時 権利行使時 株式譲渡時
法人 所得区分 法人税(受贈益)
付与時のストックオプションの時価
なし 法人税(売却損益)
譲渡価額−取得価額(付与時のストックオプションの時価+権利行使価額)
取得価額 付与時のストックオプションの時価 付与時のストックオプションの時価+権利行使価額
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種類株式の発行
種類株式とは、譲渡に対する承認決議、利益配当、残余財産分配、株式の買受け、利益消却または議決権の行使などについて、異なる内容をつけた株式をいう。
種類株式 内容 注意点 応用例
譲渡制限株式 特定種類の株式の譲渡について承認を要することを定めることができる。
 譲渡制限株式 承認機関
株主総会 取締役会 代表取締役
取締役会設置会社 例外○ 原則○ 例外○
取締役会非設置会社 原則○ 不可× 例外○
定款記載事項であり、登記事項
一部でも譲渡制限をはずすと新会社法に規定する「公開会社」に分類される。 ・上場準備段階でベンチャーキャピタルに譲渡制限のない株式を交付し、投資を回収しやすくしてやる。
議決権制限株式 特定の株式についてだけ議決権を与えない。
発行限度
公開会社 発行済み株式総数の2分の1以内
非公開会社 限度なし
定款記載事項であり、登記事項
特殊支配同族会社をはじめとする同族判定は議決権比率を基準とするので注意 配当優先株に対して議決権を制限する。
取得条項付株式 一定の事由が生じたことを条件として、会社が取得することができる株式 ・会社のイニシアティブによる効果

・既存の株式を取得条項付株式とする場合には全株主の同意が必要
全株式を取得条項付株式としておき、
敵対的買収をうけたときに会社がその株式を取得し引き換えに議決権制限株式を交付する
取得請求権付株式 株主が会社に対してその取得を請求できる株式である。
定款記載事項であり、登記事項
株主のイニシアティブによる効果 一定の事由が発生したときに株主に取得請求権が生じるようにし、会社の取得と引き換えに新株予約権などを交付するようにし、企業防衛策とする。
全部取得条項 二以上の種類株式を発行する会社がそのうちひとつの種類株式の全部を株主総会の特別決議によって取得することができる株式
定款記載事項であり、登記事項
株主総会の特別決議でけでOK 普通株式を取得条項付株式に転換するには全株主の同意が必要であるが、いったん全部取得条項付株式に変更し、取得の対価として取得条項付株式を交付すれば、特別決議だけで普通株式を取得条項付株式に転換できる。
拒否権付株式(黄金株) 株主総会、取締役会の決議事項にうち、当該株式の種類株主総会の決議を義務付ける(拒否権を付与する)。
定款記載事項であり、登記事項
株主の共同の利益を害するとして証券取引所の規制をうける。 総会承認事項を、定款変更・組織再編・事業譲渡・株式発行・財産処分・役員の選解任などの重要事項に限定し、友好的第三者に割り当てておく。
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金庫株(自己株式)の活用
■会社は自社の資金で自己株式を買取ることにより、株主構成を是正をはかることができる。(旧経営陣保有の株式の買取等→従業員持株会への譲渡)
■買い戻した自己株式を消却し、発行済み株式総数を減少させて、一株当りの株価を引き上げることにより買収をしにくくさせる。
相続人に対する売り渡し請求の定め
株主に相続、合併その他の一般承継による株券の取得が生じた場合は、会社はその自社株を取得した者に対し、その自社株式を売り渡すことを請求できることを定款に定めることができる。
相続または合併により株式を取得したものから取得する場合(譲渡人を除いた株主による株主総会の特別決議により取得を承認する場合に限る)⇒事前の総会決議は不要で、事後的に総会の特別決議をすれば済む
この場合も譲渡人(相続人)に対してはみなし配当課税は行われず、譲渡所得課税のみとなり大幅に税負担軽減となる。

原則として株主総会決議が必要であり、分配可能額以内の取得に限る。
■金庫株に関する課税関係
株式 取得方法 個人 法人
上場 市場買付 譲渡所得 譲渡損益
相対取引 公開買付 みなし配当と譲渡損益
その他 みなし配当と譲渡所得
未公開 相対取引
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財産保全会社の設立
財産保全会社とは、オーナーが直接会社の株式を保有するのではなく、オーナー保有の別会社を通して間接保有する場合の別会社をいう。
メリット
株式の分散防止 相続時に相続人に株式が分散し、また、相続人が納税資金確保のため株式を売却することも考えられるが、財産保全会社を通して間接保有すれは、当該財産保全会社の株式は非上場であり売却困難であるため、株式の分散化を防止できる。
相続対策 上場株式を個人が直接保有した場合、その相続税評価額は市場価額になるが、上場株式を財産保全会社を通して間接的に保有した場合、相続財産は財産保全会社の株式評価額(純資産価額方式)となる。
デメリット
個人手取り時の税負担 財産保全会社所有の財産(上場株式)を処分し、その代金を個人株主に配当金として支払った場合に過大な税負担が生じる。
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