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従業員持株会のまとめ(社員持ち株会)

従業員持株会のメリット・デメリット

メリット デメリット
会社 @オーナーの持株を従業員持株会へ譲渡することにより、支配権を維持しつつも相続財産の評価を引き下げることが可能。配当還元方式で株式評価するので、節税対策となる。

A親族外事業承継の有効な手段となり、株式の社外流出を防止できる。

B同族外株主からの自己株式買取の要請さいに不測の課税を強いられる可能性が高く、これらの課税問題を回避(トリプル課税)

C従業員の福利厚生を向上させることにより、従業員のモチベーションアップを図ることができる。
@オーナーの支配権支配権確保の議決権割合や、買取価額について税務上のリスクを設計しないと、経営と税務がかえって不安定となる。

A設立後においても、株主総会や会員総会など管理運営は慎重にしなければ「従業員持株会」自体を根本から否認される場合がある。

B業績低迷で高額配当が実現できないと社員の不信感を招くとともに、高齢化で退会者が集中すると、退会による換金が大変になる。

C従業員持株会からオーナー一族が買い戻す場合、原則的な評価方法で買い戻さなければ贈与税の問題が生じる場合がある。
従業員 @市場の預金金利以上の配当を実施することによる従業員の財産形成ができる。中途退職しても会社が倒産しないかぎり元本は回収できる。

A従業員の会社に対する帰属意識や経営参加意識が高まる。
@会社が倒産すると元金の回収もできなくなる。
A業績がよくなければ配当も約束されない。
B株式投資のようなキャピタルゲインはない。
C持株会に参加している人と参加していない人との間で不公平感が生じ、勤労意欲に影響を与えることがある。

トリプル課税の恐怖

時価1000万円(取得価額不明)の株式を会社で買い取る(自己株式)場合に、会社が時価の50%未満で買った場合(ここでは300万円)、自己株式にかかる資本等の額は100万円とする。

譲渡する株主 残留株主 会社
譲渡所得税 「みなし譲渡課税」
1000万円×95%×20%=190万円
配当所得税 「みなし配当課税」
(300万円−100万円)×総合所得課税50%=100万円
みなし配当に対する源泉義務
(300万円−100万円)×20%=40万円
贈与税 「みなし贈与課税」
(1000万円−300万円)×贈与税率=155万円
ペナルティ 無申告加算税(20%)
(58万円)
無申告加算税(20%)
(31万円)
不納付加算税(10%)
(4万円)

株式買取方法の検討(低廉譲渡の場合)

買主 受贈益課税 みなし配当 みなし譲渡 みなし贈与
法人 発行法人 なし あり あり あり
関連法人 あり なし あり なし
個人 オーナー あり なし なし なし
従業員持株会 なし なし なし なし

買取価格の検討

売り手 買い手 移転価格 注意点
オーナー 持株会 配当還元価額  
退職社員 オーナー 原則的相続税評価額 原則的評価額より低い価額で買い取ったら差額が贈与認定される可能性あり
退職社員 持株会 配当還元価額  
持株会退職社員 会社 配当還元価額 従業員からの買取であり課税上特に弊害がない場合

従業員の福利厚生と従業員持株会の役割

100万円支給
所得区分 配当 賞与
税金
個人の総合課税税率30%
27万円
(配当控除10%)
30万円
(給与所得控除考慮せず)
社会保険料 会社負担12万円
個人負担12万円
法人税節税効果 △45万円
(112万円×40%)
個人の最終手取り 73万円 58万円
会社の資金流出額 △100万円 △67万円

従業員持株会の形態

民法上の組合方式
株主 持株会自身が株主
会員資格 組合員(従業員)
※役員、使用人兼務役員は不可
拠出金の性格 出資
株式 共有
持株会を構成する従業員は、持株会が所有する株式について出資割合に応じた持分を共有し、株式の名義は持株会の理事長となる。
議決権行使 理事長が不統一行使可能
解散権限 持ち株会の解散は理事長の専決事項であり、経営者サイドは関与できない。理事長の人選及び労使関係は慎重にすべき。
退会時 持株会に加入する社員が退職する場合には、持株会から持ち分の払戻しを受ける(株式の買取りではない)
 上記の払戻し金額は株式の価額により、その金額はあらかじめ規約に定めておく

従業員持株会の設立

手順 留意点
持株会の設計 持株会役員構成、任期、事務管理方法、議決権の有無、株式の供給方法
従業員持株会規約の作成 ・株式の管理は理事長名義で一括して行う旨規定。
・会員資格を社員に限定する旨の条項を入れ、「退会者は、退会日における持分に応じて、金銭による払い戻しを受けるものとする。」として、退職後の株式保有に歯止めをかける。
・退会時の自社株譲渡価額は「配当還元価額方式による時価」とする旨規定
会社定款の変更 ・定款で株式の譲渡制限を規定しておく。
・株主に依頼して株券の不所持証明書を提出してもらい株券を不発行とすること。
・種類株式の新設(議決権制限株式)
従業員持株会発起人会・設立総会の開催 ・発起人会で規約と役員候補者を選任
・設立総会で役員を選任
・理事会で理事長を選任
従業員持株会の銀行口座の開設 理事長の印鑑をつくり、従業員持株会名義の銀行口座を開設する。
配当は一括して口座に振込み、理事長が各会員に配分する。

株式の供給方法

供給元 譲渡価格 留意事項
オーナー 配当還元価額 オーナーの支配権が侵害されない程度
会社保有自己株式の処分 配当還元価額 有利発行として株主総会の特別決議が必要
新株発行(第三者割当) 配当還元価額 有利発行として株主総会の特別決議が必要
他の株主 配当還元価額 現物組入れ

それぞれの税務

従業員 会社からの配当 理事長名義の口座に一括して支払われるが、各会員個人に対する「配当所得」として課税
*給与所得以外の所得が20万円以下の場合は確定申告不要
*確定申告する場合でも1年10万円以下の配当であれば申告不要
*総合所得税率が20%未満であれば、あえて確定申告をして源泉税の還付を受けることも可能
退会時の払戻し金 譲渡所得課税
(払戻し金額−持株会への拠出金額)×20%・・・申告分離課税
会社 配当金の支払 ・理事長名義の口座に一括して支払うが20%の源泉税を徴収する必要アリ。
「支払調書」を作成し所轄税務署に提出(支払確定日から1か月以内)
・配当を行うに当り株主総会の決議が必要
従業員持株会 配当金の支払 配当金は理事長宛てに一括支払だが、会員個人の配当所得とされるので、株式の寄託信託の受託者として「信託の計算書」を毎年1月31日までに所轄税務署に提出


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