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新公益法人会計基準に関するよくある質問

指定正味財産と一般正味財産との違い 収支予算書で次期繰越収支差額の決め方
指定正味財産と基本財産と特定資産の関係 内部留保の適正水準
貸借対照表と正味財産増減計算書の関係
基本金という概念の扱い
貸倒引当金の算定方法
有価証券の分類
有価証券の保有目的変更
有価証券の減損処理
新基準適用初年度の有価証券の処理
新基準適用初年度の減価償却資産
新基準適用初年度の退職給付引当金
指定正味財産から一般正味財産への振替
重要な会計方針
指定正味財産と一般正味財産はどう違うのですか?
新公益法人会計基準では、貸借対照表と正味財産増減計算書について、「指定正味財産」と「一般正味財産」に区分するようになっています。
その違いは何ですか?
指定正味財産 @寄付によって受け入れた資産
A寄付者等の意思が明確であること
B寄付者等の意思により当該資産の使途、処分または保有形態について制約が課されていること
一般正味財産 @寄付によって受け入れた資産で、寄付者によってその使途が指定されていないもの
A財団の事業活動の過程で取得した資産
⇒財団の事業の効率性を判断される。
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指定正味財産と基本財産および特定資産との関係
貸借対照表の資産の部の「基本財産」および「特定資産」と負債の部の「指定正味財産」はどのような名対応関係があるのですか?
基本財産 「寄付行為」または「定款」で財団を維持するために必要な基本的な財産として定められた資産
「基本財産」と「指定正味財産」との関係
財団設立時の基本財産は創業者からの意思により寄付をうけたものなので、「基本財産」=「指定正味財産」となります。

しかし、財団設立後に財団の事業活動で得た資金で購入した資産を「基本財産」として振り替えることもできるので、その部分の基本財産は「一般正味財産」と対応することになります。

財団設立後、寄付者が基本財産として使うようにと寄付された資産は「指定正味財産」として「基本財産」と対応することになります。
特定資産 特定の目的のために、通常の現金預金や有価証券とは別に区分された預貯金または有価証券
「特定資産」と「指定正味財産」との関係
寄付者が、具体的に使途を指定した場合は正味財産増減計算書の「指定正味財産」で受け入れ、貸借対照表の資産の部の「特定資産」と正味財産の部の「指定正味財産」と対応することになります。

但し、財団その事業活動で得た資金で購入した資産を「特定資産」として振り替えた場合は、貸借対照表の資産の部の「特定資産」は一般正味財産と対応することになります。
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「貸借対照表」と「正味財産増減計算書」の関係
「貸借対照表」と「正味財産増減計算書」はそれぞれ「指定正味財産」と「一般正味財産」に区分されていますが、どのような対応関係にあるのですか?
「正味財産増減計算書」の中で損益計算書に相当するのが、「一般正味財産増減の部」であり、この区分で計算された「一般正味財産期末残高」が、貸借対照表の「一般正味財産」に転記されます(一致します)。

「正味財産増減計算書」の中でいわゆる資本取引に相当するのが、「指定正味財産増減の部」であり、そこで計算された「指定正味財産期末残高」が、貸借対照表の「指定正味財産」に転記されます(一致します)。
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基本金という概念はなくなったのですか?
退職対照表において、旧基準にあった「うち基本金」と「うち当期正味財産増減額」の付記は廃止されるそうですが、公益法人(財団法人)で「基本金」という概念はなくなったのですか?
はい、「基本金」という概念はなくなり、そのかわりに…
貸借対照表の「正味財産の部」は「指定正味財産」と「一般正味財産」に区分され、それぞれの区分について、「うち基本財産への充当額」と「うち特定資産への充当額」が付記される。
@それら付記金額は資産の部の「基本財産」および「特定資産」の額と一致することになります。
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貸倒引当金の算定方法
新公益法人会計基準では、すでに企業会計で適用されている「金融商品び関する実務指針」を参考にするとありますが、具体的にはどのように算定するのですか?
貸倒実績率 当期以前3期間の貸倒実績率の平均値
貸倒損失額の範囲には、直接償却した額だけでなく、財務内容評価法等による貸倒引当金繰入額も含まれる。
財務内容評価法 債権額から担保の処分見込額を控除し、その残額について債務者の財政状態を考慮して個別に回収不能額を算定する方法
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有価証券の分類
新公益法人会計で、有価証券の分類を「満期保有目的の債券」と「子会社株式及び関連会社株式」と「その他有価証券」に分類しているようですが、それぞれの定義はなんですか?
有価証券の分類 定義 留意点
満期保有目的の債券 償還期限まで保有するという積極的な意志を持って保有する
償還日の定められた価格変動リスクない国債・地方債、社債・転換社債、新株引受権付社債等の有価証券
保有期間が漠然と長期いだけで、市場金利や相場等の変動で売却が予想される場合は、満期まで保有する意思がないと判断される。
また、満期まで保有する財政的な体力も要件とされる。
子会社株式 営利企業の株式で、財団がその営利企業の全株式の50%超を保有する場合 子会社には、その子会社が50%超の株式を保有する子会社(孫会社)も含まれる。
関連会社株式 営利企業の株式で、財団がその営利企業の全株式の20%から50%以下を保有する場合  
その他有価証券 「満期保有目的の債券」「子会社株式」「関連会社株式」以外の有価証券 売買目的の有価証券(市場価格あり)と長期保有目的の投資有価証券(市場価格あり、なし)に区分される。
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有価証券の保有目的変更
有価証券は保有目的によって評価が違うようですが、その保有目的は勝手に変更してもよいのですか?
振り替えの例 コメント
満期保有目的⇒売買目的のその他有価証券に振り替えたり、中途売却 合理的な理由がないかぎり、残り全ての「満期保有目的の債券」を「売買目的有価証券またはその他有価証券に振り替えなければならない。
また、保有目的の変更を行った事業年度を含む2事業年度は、その間に取得した債券を「満期保有目的の債券」に分類することはできない。
その他有価証券⇒満期保有目的債券 満期保有目的は取得時の意思に基づく分類であるため、所得後に満期保有目的債券への振り替えは認められません。
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有価証券の減損処理
市場価格がない有価証券についても評価損を計上しないといけない場合があるようですが、具体的にはどのようなときですか? (減損処理について)
市場価格のある有価証券 市場価格のない有価証券
満期保有目的債券 子会社株式・関連会社株式 その他有価証券 子会社株式・関連会社株式
時価の著しい下落 50%超下落⇒減損処理する
30%以上50%未満⇒財団の判断
30%未満⇒減損処理なし
50%超下落⇒減損処理する
50%以下の下落の場合の基準はない。
回復可能性の検討 期末後1年以内に時価が回復する合理的な根拠がない限り回復の見込みはないと考える。 規定なし
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新基準適用初年度の有価証券の留意点
新会計基準適用初年度において、有価証券の取り扱いで注意することはありますか?
   期首に認識する損益 一般正味財産で充当された有価証券 指定正味財産で充当された有価証券
時価評価の有価証券 期首時点の帳簿価額と時価との差額 正味財産増減計算書の経常外収益(費用)に計上する。 正味増減計算書の指定正味財産増減の部に過年度分がわかる名称で計上する。
償却原価法の有価証券 原則法 取得時から適用初年度期首までの償却額 正味財産増減計算書の経常外収益(費用)に計上する。 正味増減計算書の指定正味財産増減の部に過年度分がわかる名称で計上する。
例外法 適用初年度の期首簿価を取得価額とみなす。 期首の仕訳なし
(適用初年度期首から満期までの期間で償却)
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新基準適用初年度の減価償却の留意点
新公益法人会計基準では財団法人でも減価償却が強制されるそうですが、今まで減価償却を実施してませんでしたが、期首の簿価はどうやって計算するのですか?
期首に認識する損益 一般正味財産で充当された固定資産 指定正味財産で充当された固定資産
原則 固定資産取得時から適正に減価償却をした場合の過年度の減価償却累計相当額 正味財産増減計算書の経常外費用に計上する。 正味財産増減計算書の経常外費用に計上する。
上記仕訳の他に「指定正味財産増減の部(一般正味財産への振替額)」から
「一般正味財産増減の部」の経常外収益への振替処理がなされる。
例外 適用初年度の期首簿価を取得価額とみなす。 期首の仕訳なし 期首の仕訳なし
以降は残存耐用年数を用いた減価償却費を経常費用として計上 以降は残存耐用年数を用いた減価償却費を経常費用として計上
上記仕訳の他に「指定正味財産増減の部(一般正味財産への振替額)」から
「一般正味財産増減の部」の経常外収益への振替処理がなされる。
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新基準適用初年度の退職給付引当金の留意点
新公益法人会計基準では退職給付引当金の計上が強制されるようですが、いわゆる退職給与引当金とどう違って、初年度には何を気をつけないといけませんか?
退職給付引当金は簡便法だと、職員退職金期末要支給額の100%になり、従前の(会計上の)退職給与引当金と同じになります。
今まで期末要支給額全額を退職給与引当金として計上していなかった財団については、新基準適用初年度の期首時点で多額の差異(会計基準変更時差異)が生じることになります。
会計基準変更時差異の処理の仕方
原則的処理 期首で一括費用処理 一般経常外費用
例外的処理 6年〜15年均等償却 一般経常費用
5年以内均等償却 一般経常外費用
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「指定正味財産」から「一般正味財産」への振替
正味財産増減計算書において、「指定正味財産の部」から「一般正味財産の部」へ振替処理がなされる場合があると聞きましたが具体的にどのような場合ですか?
《一般正味財産増減の部》
経常増減の部
経常収益
有価証券評価益 一般正味財産から充当した売買目的の有価証券を時価評価した場合の評価益
基本財産評価益 市場価格のある「その他有価証券」を基本財産として一般正味財産から充当した場合は、時価評価することになるが、その場合の時価評価益
投資有価証券評価益 一般正味財産から充当した市場価格のある「その他有価証券」を時価評価した場合の評価益
経常費用
事業費
C減価償却費 指定正味財産から充当した固定資産の減価償却費
管理費
有価証券評価損 一般正味財産から充当した市場価格のある有価証券を時価評価しな場合の評価損
基本財産評価損 市場価格のある「その他有価証券」を基本財産として一般正味財産から充当した場合は、時価評価することになるが、その場合の時価評価損
投資有価証券評価損 一般正味財産から充当した市場価格のある「その他有価証券」を時価評価した場合の評価損
経常外増減の部
経常外収益
@基本財産受贈益 経常外費用の「@基本財産評価損」と対応
A子会社株式・関連会社株式受贈益 経常外費用の「A子会社株式・関連会社株式評価損」と対応
B投資有価証券受贈益 経常外費用の「B投資有価証券評価損」と対応
C固定資産受贈益 指定正味財産から充当した固定資産の減価償却費(経常事業費のC)と対応
経常外費用
@基本財産評価損 基本財産として一般正味財産から充当した有価証券を減損処理した場合の評価損
基本財産として指定正味財産から充当した有価証券を減損処理した場合の評価損
A子会社株式・関連会社株式評価損 一般正味財産から充当した有価証券で原価法を適用する場合の減損処理による評価損
指定正味財産から充当した有価証券で原価法を適用する場合の減損処理による評価損
B投資有価証券評価損 一般正味財産から充当した有価証券で原価法を適用する場合の減損処理による評価損
指定正味財産から充当した有価証券で原価法を適用する場合の減損処理による評価損
当期一般正味財産増減額
《指定正味財産増減の部》
受取補助金等
受取負担金
受取寄付金
固定資産受贈益
基本財産評価損益 市場価格のある「その他有価証券」を基本財産として指定正味財産から充当した場合は、時価評価することになるが、その場合の時価評価損益
(償却原価法の償却損益を含む)
「満期保有目的債券」を基本財産として指定正味財産から充当した場合は償却原価法を適用するが、その場合の償却差額
特定資産評価損益 市場価格のある「その他有価証券」を特定資産として指定正味財産から充当した場合は、時価評価することになるが、その場合の時価評価損益
「満期保有目的債券」を特定資産として指定正味財産から充当した場合は償却原価法を適用するが、その場合の償却差額
投資有価証券評価損益 指定正味財産から充当した市場価格のある「その他有価証券」を時価評価した場合の評価損益
一般正味財産への振替額 @ABCの合計
当期指定正味財産増減額
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重要な会計方針
重要な会計方針の記載例を教えてください。
有価証券の評価基準及び評価方法
(1)売買目的の有価証券
時価法(売価原価は移動平均法により算定)を採用しております。
(2)満期保有の有価証券
償却原価法(定額法)を採用しております。
(3)子会社株式及び関連会社株式
移動平均法による原価法を採用しております。
(4)その他有価証券
時価のあるもの
決算日の市場価格等に基づく時価法(評価差額は正味財産増減額として処理し、売却原価は移動平均法により算定)を採用しております。
時価のないもの
移動平均法による原価法を採用しております。
棚卸資産の評価基準及び評価方法
最終仕入原価法による原価法を採用しております。
固定資産の減価償却方法
(1)有形固定資産
定率法を採用しております。
但し、建物については定額法を採用しております。
なお、主な耐用年数は次のとおりであります。
建物  ・・・30年〜50年
什器備品・・・3年〜10年
(2)無形固定資産
定額法を採用しております。
引当金の計上基準
(1)貸倒引当金
受取手形、未収金、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。
(2)賞与引当金
職員の賞与金の支払に備えて、賞与支給見込額の当事業年度負担額を計上しております。
(3)退職給付引当金
職員の退職給付に備えるため、当事業年度における退職給付債務に基づき、当事業年度末において発生していると認められる額を計上しております。
リース取引の処理方法
リース物件の所有権が借主に移転すると認められるもの以外のファイナンス・リース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理によっております。
消費税等の会計処理
消費税等の会計処理は、税込方式によっております。
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収支予算書で次期繰越収支差額の決定の仕方
収支予算書を作成するときの次期繰越収支差額が大きくなりすぎてしまいした。
そのままでもよいのでしょうか?何か基準があるのでしょうか?
収支予算での収支と支出は均衡することが望ましく、次期繰越収支差額がマイナスとなったり、逆に多額にプラスになったりすることは望ましくありません。
・次期繰越収支差額がマイナス⇒資金ショートを起こす可能性あり
・次期繰越収支差額が多額にプラス⇒内部留保が過大の可能性あり

次期繰越収支差額が多額にプラスになりそうな場合は、特定資産を積み立てることが有効です。
そのためには…
1.その引当資産や基金についての規程を設け、その財産と果実の使途を明確にすること
2.その引当資産や基金を容易に取り崩すことができないように、理事会の承認事項とすること
3.事業計画の中でその引当資産や基金についての積立・取り崩しを明確にすること
その結果、
「内部留保」≦(事業費+管理費+事業に必要な固定資産取得額)×30%
となる範囲内で合理的な金額を次期繰越収支差額とすることが望まれます。
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内部留保の適正水準
財団法人では内部留保があまり大きすぎると問題になるようですが、内部留保の適正水準はどのくらいなんですか?
「内部留保」≦(事業費+管理費+事業に必要な固定資産取得額)×30%

内部留保=総資産−(@〜D)
@基本財産
A事業目的が限定的で取り崩しが制限され、公益事業目的の基金
B法人運営に不可欠な、法人事務事務所、事業所、土地、設備機器等の固定資産
C特定資産
D負債性引当金(特定資産を超過した退職給付引当金部分等
(前受会費はマイナスできない)